反復着床不全とは、良好な受精卵(胚)を複数回移植しても着床しない状態を言い、一般的に40歳未満の女性が体外受精で良好な胚を4回以上移植した場合、80%が妊娠するといわれています。
よって、良好な胚を4個以上、かつ3回以上胚移植しても妊娠しない事を反復着床不全(RIF)といいます。反復着床不全の原因には受精卵の問題・子宮内環境の問題・免疫異常の問題などが考えられます。
今回は、結婚14年目、不妊治療歴10年、15回目の体外移植で、初めての着床・妊娠、無事出産の症例を報告させていただきます。
39歳の女性、着床障害因子の検査では、特に大きく指摘されたことがなく、胚の染色体をPGT-Aに施行し、得られた正倍数性胚を2018年6・11月、2019年1・6・9月、2020年2・9月に、2021年3・6・8・10月、2022年…… 計14周期移植したが妊娠の不成立が続いたため、難治症例として東洋医学的なアプローチを期待し、レディスクリニックの先生に紹介されました。
初診時、冷えなど様々な症状を訴えてましたが、その中でも、下痢(軟便)、頭痛、寝汗、腰痛などの自覚症状が最も見られました。
本患者様に週に1~2回の鍼灸治療、必要に応じて漢方との併用も行いました。上記の症状は鍼治療に伴い徐々に軽減されました。頭痛は初潮以来毎月の生理中にほぼ3日間続いてましたが、治療を始めてから約1年の11月の生理周期時に20年ぶり完全に症状が消失し、その後の生理中頭痛も無症状が続きました。

患者に鍼治療開始時から毎日基礎体温の記録をしてもらいました。初診時の性周期(12月の基礎体温)では、月経が始めても体温の降下が見られなかったなど、体温は安定せずばらつきが大きかったのに加え、低温期の平均体温の36.6℃に対し、高温期は36.7℃で0.1℃の差しかありませんでした。治療を開始して8か月経過した7月の体温では徐々にばらつきもなくなり、低温期の平均体温は36.7℃、高温期は36.9℃で差は0.2℃になりました(7月の基礎体温)。更に3か月経過した11月では、低温期体温の36.5℃に対し、高温期体温は36.8℃と0.3℃の差をつけた2相性ラインの体温が見られました(11月の基礎体温)。


治療期間中採卵も行われて、鍼治療を始めた9ヶ月後の2021年39歳時の採卵では、胚数の増加だけでなく初めてG1が3個、G3が2個と優れた結果が得られ、3年前より採取した胚の数や胚盤胞グレードなど全ての項目が顕著に認められたのは鍼治療の介入によるものだと考えられます(図5-1、図5-2)。

まとめ: 患者さまは、妊活中で様々なストレスがあり、ほぼ外出がなく、友達との交流がない、独りっぽち、不妊のことをしか考えてないことに対して、約1年の鍼灸治療でストレスの軽減やメンタルのケアにより下痢、頭痛など体調の改善ができました。また、冷えの改善により、生理痛、基礎体温における変化をもたらし、これらは採卵成績の向上や着床・妊娠、無事出産に繋げたと示されました。
また、出産後温かいメッセージをいただき、私も本当に幸せの気持ちがいっぱいでした。

