41歳の女性患者で、X-6年7月から5周期採卵し9周期移植した。1回化学流産、2回妊娠が成立したが, いずれも正常核型流産に至った。不育症因子検索では特記すべき異常所見は認められなかった。X-2年9月に合併した子宮筋腫核出術を行った後, 子宮内膜所見が劣化して移植できない状態になった。ビタミンEC/G-CSF子宮内腔注入などの治療により改善傾向が認められたが, さらに東洋医学からのアプローチによる血流の再編を期待して, 本院に紹介された。鍼灸を始める前に四肢の冷え, 浮腫, 恐怖不安, 蕁麻疹などの自覚症状があったが、東洋医学的な診察法により週に1~2回の頻度で鍼灸を行い、鍼灸治療を始めてからは徐々に精神が安定して, 体が温かくなり, 下肢の冷え・浮腫みも軽減した。本患者の月経周期は50~70日間が多かった。鍼灸治療開始前後直近の月経開始日は, 8/25, 10/14, 12/8, 1/9であり, 1月の月経周期は久々に32日間となった(図を参考)。X年1月のクリニック受診時では, 移植周期の子宮内膜の形が綺麗になったと言われ, 子宮壁の厚さが3年ぶりに10.9mmに改善していることがわかった。その結果, 胚盤胞(5BA)を移植することができ, 2週間後妊娠が成立し, 10月に無事に男児を出産されました。
東洋医学的に患者の体質に基づき、計23回の鍼灸治療と生活指導を行った結果, 体質改善に至ったと考えられ, 体外受精の成功に功を奏したと思われます。東洋医学的な治療は, 胚移植・妊娠維持・生児獲得が可能になるよう患者の身体環境を整えることで生殖医療に貢献できる可能性があります。
【院長からのコメント】
本患者は、1月までの4ヶ月間こちらの生活指導にしっかり従い、鍼灸治療も真面目に続けられました。移植の直前に不注意で腰は骨折したため通院が困難になり、約1か月間鍼灸治療が休みご本人も非常に不安を覚えられましたが、それまで数か月間累積した治療効果により、妊娠の継続と安産ができまして、本当に体調を良く整えられたお蔭だと思います。着床、胎嚢確認、心拍確認、安定期入り、出産、誕生日など、様々な節目で添付のような感謝のメッセージが届いてくれて、私も非常に幸せだと思い、一緒に喜んであげました。本症例は、英文誌で論文発表させていただきました。 https://juniperpublishers.com/jcmah/pdf/JCMAH.MS.ID.555833.pdf
